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個人再生・住宅ローン・破産 無料メール法律相談室

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個人再生事例①-2~手続き詳細 後半(さいたま地裁編)

後半では、裁判所が弁済履行可能と判断したところから最後までご説明いたします。

★事例の概要につきましては
個人再生事例①-1 ~事例の概要~(さいたま地裁編)
をご参照下さい。

★受任通知~申立前までの流れにつきましては、
個人再生事例①-2 ~手続き詳細 前半(さいたま地裁編)
をご参照下さい。

10.再生計画案提出
弁済予定額及び履行可能性に関する報告書にて、履行可能であることを裁判所が確認します。
裁判所に提出する書類も全て揃うと、今後の計画表を提出します。
いくらを、何年で返済するのか、月毎又は3か月毎の弁済か、ボーナス時の支払額、最終回の支払額(端数が出るため)をすべて表にして提出します。
住宅ローンについては、住宅ローン会社が作成します。「償還条件変更シミュレーション」等をもらい裁判所に提出します。

★一般債権については
「100万円を3年間で返済、3か月ごとに支払」 と決まりました。
個人再生では原則3年間(最長5年まで延長可能)の支払になります。

(例)
    (再生計画による返済総額) 3か月毎の支払額     最終回
A社    25万円       20,850円    20,650円
B社    10万円        8,340円     8,260円
C社    20万円       16,680円    16,520円
D社    25万円       20,850円    20,650円
E社    20万円       16,680円    16,520円

となります。 
1か月毎の返済総額は、27,800円 
3か月毎の返済総額は、83,400円です。

★住宅ローンについては
民事再生法199条4項に基づき作成することに決まりました。
(*詳しくは「住宅資金特別条項・支払方法」についてご参照ください。)
再生計画案が認可されるまでローン返済をストップしていたために生じた「元本、利息、損害金」の滞納分は再生計画認可決定後に毎月支払が予定されているもともとの「元本、利息」に上乗せして分割で少しずつ支払うことになりました。
つまりもともとの契約では住宅ローンは月11万円程度だったのですが、これを12万円に増額して支払っていくことになりました。
ここで、この計画案が民事再生法の何条に該当するかが問題となりましたが、裁判所と当職の考えでは民事再生法199条2項は当初の住宅ローンの期間を最大10年延長しその間に返済するものであることころ、本件では当初の住宅ローン返済期間自体は延長はしませんでしたので、「同条4項:同意型」に当たるとの見解でした。この場合は住宅ローン債権者の同意書が必要になります。しかし債権者は、「同条2項:最終弁済期延長型」に該当し、たまたま延長がない場合にすぎないから同意書は出せないという見解でした。そこで、協議となりましたが、最終的には裁判所の判断に委ねられ、結果同条4項ということになり、住宅ローン債権者も「同意書」を裁判所へ提出しました。

1か月毎のローン返済総額は、120,000円 

★自動車について
自動車には所有権留保がついており(ローンを全額返済するまでローン会社または販売店などに所有権が留保されている)、原則として、債権者(所有者)に自動車を返還し売却額または査定額が残債権に充当された後に残った債権が、債務者の残債務として確定します。

しかし、今回申立人は個人事業主で、自動車が事業継続に不可欠であるため返還ではなく約定通り支払続けることにしました。自動車のローン債権を「共益債権」(開始決定前の借入、原材料購入、事業用としての弁済中のリースなど通常は開始決定により弁済禁止となりますが、事業継続に欠くことのできない行為であることを理由に相手方の請求権を共益債権とする)であるという裁判所の許可を得た上で、債権者との間で弁済協定を締結すれば自動車を返還することなく約定通り支払続けることが出来ます。
弁済協定は開始決定後直ちに締結します。
1か月毎の返済総額は、20,000円 

上記のように決まりましたら、再生債権の返済計画表を作成し提出します。
住宅ローンは「償還条件変更シミュレーション」、自動車ローンは「弁済協定」として提出しているので一般債権について計画表を作成します。
(参考例:(個人再生ブログ用)⑧の図)

11.再生計画認可決定
上記再生計画(案)が認可されると認可決定が出されます。
通常は、再生計画認可決定の確定した日の属する月の翌月から支払が始まります。
(例:認可決定確定4月の場合5月から支払開始。一般債権については3か月毎の支払のため7月から支払開始)

12.相談者と最終打ち合わせ
当事務所では相談者と支払の漏れがないよう、弁済計画表をもとにご説明させて頂きます。
(参考例:(個人再生ブログ用)⑧の図-2



ご説明しご相談者様がすべてご理解いただいた時点で終了となります。


個人再生は、認可決定されるまで時間がかかり、さらに3年から5年という長い年月をかけて返済することになりますが、大切な住宅は守られ、弁済額も大幅に減らすことが出来ます。
個人再生や破産申立などでお困りの方は是非当事務所へお気軽にご相談下さい。
ご相談者様の最善の方法を見つけだし解決致します。

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個人再生事例①-2~手続き詳細 前半(さいたま地裁編)

前半で受任通知から申立前までの流れをご説明いたします。
事例の概要につきましては
1 個人再生事例①-1 ~事例の概要~(さいたま地裁編)
をご参照下さい。

1.各債権者に「受任通知」を発送
各債権者に対して「受任通知」を発送し支払を一時的にストップ。
「債権届出書」提出依頼も同時に行う。

2.「住宅ローン」会社に「受任通知」発送
住宅ローンについても銀行に受任通知を発送し売却の流れをストップ。
支払いについては、既に滞納し、期限の利益を喪失してるため、一括払いの請求が来ており、分割払いの再生計画が認可された後に支払を再開することとしました。
住宅ローンについては、個人再生の特徴でもある「住宅資金特別条項」を利用します。
住宅資金特別条項を設定することによって、他の一般債権と切り離して住宅ローンの支払を継続することができ、住宅を手放さずに済みます。

★住宅資金特別条項には対象となる住宅に限られます。
詳しくは
「対象となる住宅資金特別条項について」
「住宅資金特別条項を定めることができない場合」についてもご参照ください。

★また住宅ローンの滞納がなく、毎月支払いをしている場合はそのまま支払を継続することが出来ます。
詳しくは
「弁済許可による住宅ローンの支払」をご参照ください.


3.生活の立て直し、打ち合わせ、必要書類準備
全ての支払をストップしている間に生活の立て直し、相談者と定期的な打ち合わせを行い、必要書類を頂きました。

4-1.個人再生申立資料の準備 
★申立に必要な書類は「個人再生申立資料の準備」をご参照ください

4-2.各債権者から「債権届出書」受領。
届出書をもとに「債権者一覧表」の作成、債権総額を計算。

4-3.債権総額の確定
再生債権の合計額は2000万円(内住宅ローン1800万円含む)でした。個人再生は、基準債権額が5000万円以下と決められています。
★基準債権額につきましては「基準債権額について」をご参照ください。

今回の場合、住宅ローンを除いた基準債権額は、200万となりますので個人再生可能となります。
また、この基準債権額200万を返済していくのではなく基準債権額をもとに「最低弁済額」を計算します。
最低弁済額とは債務額により以下のように決まります。
100万円未満→総額
100万円以上500万円未満→100万円(定額)
500万円以上1500万円未満→5分の1
1500万円以上3000万円未満→300万円(定額)
3000万円以上5000万円未満→10分の1

今回の場合は、
①基準債権額が200万
②清算価値(破産した場合の債務者の財産)は13万円(破産した場合よりたくさん返済する必要があります。)
③過去2年間の可処分所得は給与再生のみなので該当なし

ですので、①を基準とした場合、
基準債権額が100万円以上500万円未満の場合は、100万円(定額)が最低弁済額になりますので、100万円を今後返済していくことになります。

よって再生計画(案)としては、
①100万円を3~5年の36回~60回払い。3年36回払いだと月々2,8万円
②住宅ローン月々約10万
③自動車ローン月々約2万
⇒毎月の支払総額は総額15万程 となります。

上記再生計画(案)を相談者と協議し月毎の支払額について了承を得た上で、個人再生申立を行います。

5.さいたま地方裁判所にて個人再生申立
申立弁護士・相談者・裁判官と面談を行います。

6.面談後6か月程度で再生計画が認可されます。

★詳しくは、「個人再生手続標準進行予定表」をご参照ください。
裁判所によって異なります。

7.再生委員選任
申立を行うとその管轄内で再生委員が選任されることがあります。
東京地裁は選任されますが、埼玉や千葉は弁護士が代理人として申し立てた場合は原則として再生委員は選任されません。
選任されると、再生委員にも予納金を納めなければならないので注意が必要です。(金額は裁判所によってことなります)
今回は、さいたま地裁でしたので選任されませんでした。

8.申立代理人弁護士と裁判所と間で協議
再生計画が認可されるまで、裁判所と何度も協議します。
実際に計画通り払えるのか、3年間収入があるのか、その間に大きな出費がないか詳しく調査されます。資料も追完します。
★詳しくは「申立資料の準備 申立後の資料」をご参照下さい。

9.弁済予定額及び履行可能性に関する報告書
ここでは、最低弁済額に対し世帯収支を出し毎月どのくらい余剰があるのか、その間に予想される特別支出(子供の入学金や授業料等)をどのように支払っていくか詳しく説明します。
[前提]
世帯全体の収入は、約66万
世帯全体の支出は、約42万
毎月の余剰額は、約24万

毎月の余剰額は24万であり
・再生債権額の1か月あたりの支払予定額は27,000円
・1か月あたりの住宅ローン支払予定額は、117,000円
・1か月あたりの自動車ローン支払予定額は、20,000円

上記支払をしても毎月約8万程度の残余額が生じる予定であるので十分に再生計画の履行は可能です。
申立人にも、支払が可能かどうか再度確認します。

続きは、
個人再生事例①-2 ~手続き詳細 後半 (さいたま地裁編) 
をご覧下さい。

個人再生についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
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個人再生事例①-1 ~事例の概要~ (さいたま地裁編)

Q:以下のように、住宅ローンが滞って、貸金の返済も厳しい状態です。住宅を残しながら、返済額を減らす方法はありますか。
  ・負債総額                     約300万円
  ・債権者数 (自動車ローン1社、住宅支援機構1社含む) 7社
  ・毎月の支払い額(住宅ローン以外)           15万円
  ・毎月の住宅ローン支払い額              11万円
  ・住宅ローン滞納月数                  約10か月
  ・資産総額                       13万円


 A:当事務所の解決事例で、 個人再生適用後以下の通りになりました。
  ・負債総額         300万円を100万円に減額 
  ・毎月の支払い(住宅ローン以外) 
                  27,800円/月 ×3年間 
  ・住宅ローン
    期限の利益を回復し、競売を回避   毎月12万円支払い

 

負債額を大幅に圧縮し、住宅ローンも住宅資金特別条項を利用することで大切な住宅を守ることができます。
住宅ローンは、支払を滞納していたために任意売却通知が来ていましたが、協議で止めることができます。

今後の個人再生手続きにつきましては、
 個人再生事例①-2 ~手続き詳細 前半
 個人再生事例①-3 ~手続き詳細 後半 をご参照ください。



また、個人再生の他にも破産申立や任意整理という方法があります。
詳しくは、「債務整理について」をご参照下さい。

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競売手続きを止めることはできますか

Q: 抵当権が実行されて競売手続きが進行中ですが、個人再生手続きを申し立てれば、競売手続きは中止されますか?


A: 再生計画案の認可の見込みがある場合には、一定期間実行が中止されます。

 裁判所は、個人再生手続開始の申立があった場合において、「住宅資金特別条項を定めた再生計画認可の見込みがあると認めるときは、再生債務者の申し立てにより、相当の期間を定めて」抵当権の実行の中止を命じることができます(民事再生法197条)。

 再生手続きは、だいたい半年程度かかりますが、その間に競売が進められてしまっては、せっかく、住宅ローンの支払いの巻き戻しなどを再生計画で取り決めても、意味がなくなってしまいます。

 そこで、再生手続が終わるまでの間、裁判所命令により、競売の手続きの進行を「停止」させることができます。条文上は中止命令ですが、完全になくなってしまうのではなく、「いったんストップ」の状態になるだけです。そして、再生計画で住宅ローンの支払いの巻き戻しができれば、最終的に競売手続きは取消になります。

 他方、再生計画が認可されなかった場合は、「停止」していた競売手続は進行を始めることになります。

 この中止命令には、「再生計画認可の見込み」を裁判所に示すことが必要です。

 また、再生手続きを申し立てただけでは当然に競売は停止しませんので、別途、この中止命令の申し立てをすることが必要ですので、注意が必要です。

  ですので、競売手続きが始まってしまっていても、まだ巻き戻しの可能性はありますので、あきらめずに、一度、ご相談ください。

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住宅ローン滞納問題

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Q: 住宅ローンの滞納が続いて競売をされそうなのですが、個人再生手続きをとれば競売を防げるのでしょうか?


A: 裁判所に個人再生の申し立てをして、住宅資金特別条項を定めれば、個人再生の認可決定により、競売を防げる場合があります。

  個人再生手続きは、借金を一定程度圧縮して3年間で分割払いをする手続きですが、住宅ローンは圧縮やカットをせずに支払を続け、住宅を残すことができます。

  例えば、他の借金は減額をするものの、住宅ローンはこれまで滞納していないので、そのまま支払い続ける「そのまま型」や、他の借金は減額をして、滞納により一括払いを請求されている住宅ローンを再び分割払いの手続きに戻す
 「期限の利益回復型」などがあります。

  このような住宅資金特別条項を定め、個人再生の計画が認可されると、住宅を競売されずにすむ場合があります(住宅資金特別条項の詳しい内容は、また別項目で解説します。)。 破産をして諦める前に、住宅資金特別条項を定めることができるかどうかについて、ぜひ一度弁護士にご相談下さい。

  当事務所は、東京、埼玉、千葉、横浜の各裁判所で、住宅資金特別条項付きの再生計画を多数認可させた実績があります。まずはお気軽に無料相談にご参加ください。

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